難経

 

十難


◆十難曰.
一脉爲十變者.何謂也.
然.
五邪剛柔相逢之意也.
假令
心脉急甚者.肝邪干心也.
心脉微急者.膽邪干小腸也.
心脉大甚者.心邪自干心也.
心脉微大者.小腸邪自干小腸也.
心脉緩甚者.脾邪干心也.
心脉微大者.胃邪干小腸也.
心脉濇甚者.肺邪干心也.
心脉微濇者.大腸邪干小腸也.
心脉沈甚者.腎邪干心也.
心脉微沈者.膀胱邪干小腸也.
五藏各有剛柔邪.故令一脈輒變爲十也.

十難に曰く、
一脈が十変するとは、何の謂いぞや?
然り、
五邪の剛柔が相い逢うの意なり.
仮令(たとえば)、
心脈が急なること甚だしきは、肝の邪が心を干(おか)せるなり.
心脈が微(び・かすか)に急なるは、胆の邪が小腸を干せるなり.
心脈が大なること甚だしきは、心の邪が自ら心を干せるなり.
心脈が微に大なるは、小腸の邪が自ら小腸を干せるなり.
心脈が緩なること甚だしきは、脾の邪が心を干せるなり.
心脈が微に緩なるは、胃の邪が小腸を干せるなり.
心脈が濇なること甚だしきは、肺の邪が心を干せるなり.
心脈が微に濇なるは大腸の邪が小腸を干せるなり.
心脈が沈なること甚だしきは、腎の邪が心を干せるなり.
心脈が微に沈なるは、膀胱の邪が小腸を干せるなり.
五臓には各々剛柔の邪あり、故に一脈をして輒(たちまち)変じて十と為さしむるなり.

 

『難経』十難 VOICEROID+結月ゆかり