難経

 

十二難


◆十二難曰.
經言.
五藏脉已絶於内.用鍼者反實其外.
五藏脉已絶於外.用鍼者反實其内.
内外之絶.何以別之.
然.
五藏脉已絶於内者.腎肝氣已絶於内也.而醫反補其心肺.
五藏脉已絶於外者.其心肺脉已絶於外也.而醫反補其腎肝.
陽絶補陰.陰絶補陽.是謂實實虚虚.損不足益有餘.
如此死者、醫殺之耳.

十二難に曰く、
経に言う、
「五臓の脈が已に内に絶えたるに、鍼を用うる者が反して其の外を実し、
五臓の脈が已に外に絶えたるに、鍼を用うる者が反して其の内を実す.」と、
内外の絶ゆるは、何を以て之を別つや?
然り、
五臓の脈が已に内に絶ゆるとは、腎肝の気が已に内に絶えたることなり.而るに医が反して其の心肺を補う.
五臓の脈が已に外に絶ゆるとは、其の心肺の脈が已に外に絶えたることなり.而るに医が反して其の腎肝を補う.
陽が絶えたるに陰を補い、陰が絶えたるに陽を補うなり.是れを実を実し、虚を虚すと謂う、不足を損じ、有余を益すと謂う.
此の如き死は、医が之を殺すのみ.