難経

 

十七難


◆十七難曰.
經言.
病或有死.或有不治自愈.或連年月不已.
其死生存亡.可切脉而知之耶.
然.
可盡知也.
診病.若閉目不欲見人者.脉當得肝脉.強急而長.而反得肺脉.浮短而濇者.死也.
病若開目而渇.心下牢者.脉當得緊實而數.反得沈濡而微者.死也.
病若吐血.復鼽衄血者.脉當沈細.而反浮大而牢者.死也.
病若譫言妄語.身當有熱.脉當洪大.而手足厥逆.脉沈細而微者.死也.
病若大腹而泄者.脉當微細而濇.反緊大而滑者.死也.

十七難に曰く.
経に言う.
「病みて、或は死することあり.或は治せずしても自から癒え、或は年月を連ねても已えざることあり.」と.
其の死生存亡は、脈を切して之を知るべきや?
然り.
尽く知るべきなり.
病を診て、若し目を閉じて人を見ることを欲せざる者は、脈は当に肝脈の強(弦)急にして長なるを得るべし.而るに反って肺脈の浮短にして濇なるを得る者は死するなり.
病みて若し目を開きて渇し、心下が牢なる(かたき)者は、脈は当に緊実にして数なるを得るべし.反って沈濇にして微なるを得る者は、死するなり.
病みて若し血を吐き、復た鼽衄血する者は、当に沈細なるべし.而るに反って浮大にして牢なる(かたき)者は死するなり.
病みて若し譫言・妄語し、身まさに熱あるは、脈はまさに洪大なり、而るに手足が厥冷し、脈が沈細にして微なる者は、死するなり.
病みて若し大腹し泄する者は、脈まさに微細にして濇なり.反って緊大にして滑なる者は、死するなり.