難経

 

十九難


◆十九難曰.
經言.
脉有順逆.男女有常.而反者.何謂也.
然.
男子生於寅.寅爲木.陽也.
女子生於申.申爲金.陰也.
故男脉在關上.女脉在關下.
是以男子尺脉恒弱.女子尺脉恒盛.是其常也.
反者.男得女脉.女得男脉也.

其爲病何如.
然.
男得女脉.爲不足.病在内.
左得之.病則在左.右得之.病則在右.
隨脉言之也.
女得男脉.爲太過.病在四肢.
左得之.病則在左.右得之.病則在右.
隨脉言之.此之謂也.

十九難に曰く.
経に言う.
「脈に逆順あり、男女に恒(つね)あり、而るに反する者あり」とは何の謂いぞや?
然り.
男子は寅(いん)に生じ、寅は木で陽となす.
女子は申(しん)に生じ、申は金で陰となすなり.
故に男脈は関上にあり、女脈は関下にあり.
是れを以って男子の尺脈は恒に弱く、女子の尺脈は常に盛んなり.是れその常なり.
反する者は、男は女脈を得、女は男脈を得るなり.

其の病をなすこと如何に?
然り、
男が女脈を得たるを不足と為し、病は内にあり.
左に之を得れば、病は則ち左に在り、右に之を得れば病は即ち右に在る.
脈に随い之を言うなり.
女が男脈を得るを太過となし、病は四肢に在り.
左に之を得れば、病は左に在り、右に之を得れば、則ち病は右に在り.
脈に随い之を言うとは、此れ之の謂うなり.