難経

 

ニ十難


◆二十難曰.
經言.
脉有伏匿.
伏匿於何藏.而言伏匿耶.
然.
謂陰陽更相乘.更相伏也.
脉居陰部.而反陽脉見者.爲陽乘陰也.脉雖時沈濇而短.此謂陽中伏陰也.
脉居陽部.而反陰脉見者.爲陰乘陽也.脉雖時浮滑而長.此謂陰中伏陽也.
重陽者狂.重陰者癲.
脱陽者見鬼.脱陰者目盲.

ニ十難に曰く.
経に言う.
「脈に伏匿あり」と.
何の臓に伏匿するを而して伏匿と言うや?
然り.
陰陽が更るがわる相い乗じ、更るがわる相い伏すことなり.
脈が陰の部に居ても、反って陽脈を見わす(あらわす)者は、陽が陰に乗ずと為すなり.脈は時に沈濇にして短なりと雖も、此れは陽中に陰が伏す、と謂うなり.
脈が陽の部に居ても、反って陰脈を見わす者は、陰が陽に乗ずと為すなり.脈は時に浮滑にして長なりと雖も、此れは陰中に陽が伏す、と謂うなり.
重陽の者は狂し、重陰の者は癲し、
脱陽の者は鬼を見て、脱陰の者は目盲となる.

 盲う:(めしう、盲となる)