難経

 

二十八難


◆二十八難曰.
其奇經八脉者.既不拘於十二經.皆何起何繼也.
然.
督脉者.起於下極之兪.並於脊裏.上至風府.入屬於腦.
任脉者.起於中極之下.以上毛際.循腹裏.上關元.至咽喉.
衝脉者.起於氣衝.並足陽明之經.夾齊上行.至胸中而散也.
帶脉者.起於季脇.廻身一周.
陽蹻脉者.起於跟中.循外踝.上行入風池.
陰蹻脉者.亦起於跟中.循内踝.上行至咽喉.交貫衝脉.
陽維陰維者.維絡于身.溢畜不能環流灌漑諸經者也.
故陽維.起於諸陽會也.陰維.起於諸陰交也.
比于聖人圖設溝渠.滿溢流于深湖.故聖人不能拘通也.
而人脉隆盛.入於八脉.而不環周.故十二經.亦不能拘之.
其受邪氣.畜則腫熱.砭射之也.

二十八難に曰く.
其の奇経八脈は、すでに十二経に拘わらずとは、みな何れに起り何れに継ぐや?
然り.
督脉は、下極の兪に起り、脊裏に並び、上りて風府に至り、入りて脳に属す.
任脈は、中極の下に起り、以って毛際に上り、腹裏を循り、関元に上り、咽喉に至る.
衝脈は、気衝に起り、足の陽明の経に並び、臍を挟んで上行し、胸中に至って散ずる.
帯脈は、季脇に起り、身を廻りて一周す.
陽蹻脈は、跟中に起り、外踝を循り、上行して風池に入る.
陰蹻脈も、また跟中に起り、内踝を循り、上行して咽喉に至り、交わりて衝脈を貫く.
陽維・陰維は、身を維絡す.溢畜(いつちく)して諸経を灌漑・環流すること能わざる者なり.
故に陽維は、諸陽の会に起り、陰維は、諸陰の交に起るなり.
聖人は溝渠を図り設けて、満溢すれば深湖に流す.故に聖人も拘わること能わずして通すなり.
人の脈が隆盛なれば、八脈に入りて而して環周せず、故に十二経も、また之に拘わること能わず.
その邪気受けて、畜すれば則ち腫熱す.砭(いしばり)にて之を射するなり.