難経

 

三十三難


◆三十三難曰.
肝青象木.肺白象金.
肝得水而沈.木得水而浮.
肺得水而浮.金得水而沈.其意何也.
然.
肝者.非爲純木也.乙角也.庚之柔.
大言陰與陽.小言夫與婦.
釋其微陽.而吸其微陰之氣.其意樂金.又行陰道多.故令肝得水而沈也.
肺者.非爲純金也.辛商也.丙之柔.
大言陰與陽.小言夫與婦.
釋其微陰.婚而就火.其意樂火.又行陽道多.故令肺得水而浮也.

肺熟而復沈.肝熟而復浮者.何也.
故知辛當歸庚.乙當歸甲也.

三十三難に曰く.
肝は青く木を象り(かたどり)、肺は白く金を象る.
肝は水を得て沈み、木は水を得て浮く.
肺は水を得て浮き、金は水を得て沈む、其の意は何ぞや?
然り.
肝は、純木と為すには非ず、乙角(おつかく、)なり.庚(こう)の柔なり.
大きく言すれば陰と陽、小さく言えば夫と婦なり.
其の微陽を釈して、其の微陰の気を吸うなり.其の意は金を楽しむなり.又た陰道を行むこと多し.故に肝は水を得て沈ましむるなり.
肺は、純金と為すに非ず、辛商(しんしょう)なり.丙(へい)の柔なり.
大きく言えば陰と陽、小さく言えば夫と婦なり.
其の微陰を釈して、婚して火に就く(つく)なり.其の意は火を楽しむなり.又た陽道を行むこと多し、故に肺は水を得て浮かばしむるなり.

肺は熟して復た沈み、肝は熟して復た浮かぶ者とは、何ぞや
故に辛はまさに庚に帰らんとし、乙はまさに甲に帰らんとすることを知るなり.