難経

 

四十二難


◆四十二難曰.
人腸胃長短.受水穀多少.各幾何.
然.
胃大一尺五寸.徑五寸.長二尺六寸.横屈受水穀三斗五升.其中常留穀二斗.水一斗五升.
小腸大二寸半.徑八分.分之少半.長三丈二尺.受穀二斗四升.水六升三合.合之太半.
廻腸大四寸.徑一寸半.長二丈一尺.受穀一斗.水七升半.
廣腸大八寸.徑二寸半.長二尺八寸.受穀九升三合.八分合之一.
故腸胃凡長五丈八尺四寸.合受水穀八斗七升六合八分合之一.
此腸胃長短.受水穀之數也.

肝重四斤四兩.左三葉右四葉.凡七葉.主藏魂.
心重十二兩.中有七孔三毛.盛精汁三合.主藏神.
脾重二斤三兩.扁廣三寸.長五寸.有散膏半斤.主褁血.温五藏.主藏意.
肺重三斤三兩.六葉兩耳.凡八葉.主藏魄.
腎有兩枚.重一斤一兩.主藏志.

膽在肝之短葉間.重三兩三銖.盛精汁三合.
胃重二斤二兩.紆曲屈伸.長二尺六寸.大一尺五寸.徑五寸.盛穀二斗.水一斗五升.
小腸重二斤十四兩.長三丈二尺.廣二寸半.徑八分.分之少半.左廻疊積十六曲.盛穀二斗四升.水六升三合.合之太半.
大腸重二斤十二兩.長二丈一尺.廣四寸.徑一寸.當齊右廻十六曲.盛穀一斗.水七升半.
膀胱重九兩二銖.縱廣九寸.盛溺九升九合.

口廣二寸半.脣至齒長九分.齒以後至會厭.深三寸半.大容五合.
舌重十兩.長七寸.廣二寸半.
咽門重十兩.廣二寸半.至胃長一尺六寸.
喉嚨重十二兩.廣二寸.長一尺二寸.九節.
肛門重十二兩.大八寸.徑二寸大半.長二尺八寸.受穀九升三合八分.合之一.

四十二難に曰く.
人の腸胃の長短、水穀を受けることの多少は幾何(いくばく)ぞや?
然り.
胃の大きさは一尺五寸、径は五寸、長さニ尺六寸、横に屈して水穀を三斗五升受け、其の中常に穀ニ斗と、水一斗五升を留む.
小腸の大り(まわり)は二寸半、径は八分、分の少半、長さ三丈ニ尺、穀をニ斗四升と水六升三合、合の大半を受く.
廻腸の大りは四寸、径は一寸半、長さニ丈一尺、穀を一斗、水七升半を受く.
広腸の大りは八寸、径は二寸半、長さニ尺八寸、穀を九升三合、八分の合の一を受く.
故に腸胃は凡て(すべて)の長さ五丈八尺四寸、合わせて水穀八斗七升六合八分合の一を受く.
此れ腸胃の長短、水穀を受くるの数なり.

肝は重さ四斤四両にして、左に三葉、右は四葉、凡て七葉なり.魂を蔵するを主る.
心は重さ十二両にして、中に七孔三毛あり、精汁三合を盛り、心を蔵するを主る.
脾は重さニ斤三両にして、扁広三寸、長さ五寸、散膏半斤あり、血を裹む(カ つつむ)ことを主り、五臓を温め、意を蔵するを主る.
肺は重さ三斤三両にして、六葉両耳、凡て八葉なり、魄を蔵するを主る.
腎は両枚あり、重さ一斤一両、志を蔵するを主る.

胆は肝の短葉の間にあり、重さ三両三銖にして、精汁三合を盛る.
胃は重さニ斤十四両なり.紆曲屈伸して、長さニ尺六寸、大りは一尺五寸、径は五寸にして、穀をニ斗、水を一斗五升を盛る.
小腸は重さニ斤十四両、長さ三丈ニ尺、広さニ寸半、径八分、分の少半にして、左に廻り畳積(ちょうせき)すること十六曲なり、穀をニ斗四升、水を六升三合合の大半を盛る.
大腸は重さニ斤十二両、長さニ丈一尺、広さ四寸、径一寸、臍に当り右に廻り畳積すること十六曲なり、穀を一斗、水を七升半盛る.
膀胱は重さ九両ニ銖にして、縦に広きこと九寸なり、溺(デキ いはり)を盛ること九升九合なり.

口は広さニ寸半にして、唇より歯に至る長さ九分、歯より以後会厭に至るは深さ三寸半、大きさは五合を容れる.
舌は、重さ十両にして、長さ七寸、広さニ寸半なり.
咽門は重さ十両にして、広さニ寸半、胃に至る長さは一尺六寸なり.
喉嚨(こうろう)は、重さ十二両にして、広さニ寸、長さ一尺ニ寸にして、九節なり.
肛門は重さ十二両にして、大きさ八寸、径はニ寸大半、長さニ尺八寸、穀を受くること九升三合八分、合の一なり.