難経

 

四十六難


◆四十六難曰.
老人臥而不寐.少壯寐而不寤者.何也.
然.
經言.
少壯者.血氣盛.肌肉滑.氣道通.榮衞之行.不失於常.故晝日精.夜不寤.
老人血氣衰.氣肉不滑.榮衞之道濇.故晝日不能精.夜不得寐也.
故知老人不得寐也.

四六難に曰く.
老人は臥して寐ねむらず(ねむらず)、少壮は寐りて寤めざる(さめざる)のは、何ぞや?
然り.
経に言う.
「少壮の者は、血気盛んにして、肌肉は滑らか、気道は通じ、栄衛の行り(めぐり)は、常を失わず.故に昼間は精し※、夜は寤めざるなり.
老人は血気衰え、気肉は滑らかならず、栄衛の道は濇(ショク、しぶる)、故に昼間は精ならず、夜は寐らざるなり」と.
故に老人は寐るを得ざるを知るなり.

※精し...あきらか、意識がはっきりしている.