難経

 

五十三難


◆五十三難曰.
經言.
七傳者死.間藏者生.何謂也.
然.
七傳者.傳其所勝也.間藏者.傳其子也.
何以言之.
假令心病傳肺.肺傳肝.肝傳脾.脾傳腎.腎傳心.一藏不再傷.故言七傳者死也.
間藏者.傳其所生也.
假令心病傳脾.脾傳肺.肺傳腎.腎傳肝.肝傳心.是母子相傳.竟而復始.如環之無端.故言生也.

五十三難に曰く.
経に言う.
「七伝する者は死し、臓を間む(はさむ)者は生く」とは何の謂いぞや?
然り.
七伝する者とは、其の勝つ所に伝うることなり.臓を間む者とは、其の子に伝うることなり.
何を以てかこれを言えば.
仮令(たとえば)心が病みて肺に伝え、肺は肝に伝え、脾は腎に伝え、腎は心に伝え、一臓は再び傷られず.故に七伝する者は死すと言うなり.
仮令心が病みて脾に伝え、脾は肺に伝え、肺は腎に伝え、腎は肝に伝え、肝は心に伝う.是れ母子相い伝うるに、竟り(おわり)て復た始り、環に端なきが如し.故に生くと言うなり.