難経

 

五十五難


◆五十五難曰.
病有積有聚.何以別之.
然.
積者.陰氣也.
聚者.陽氣也.
故陰沈而伏.陽浮而動.氣之所積.名曰積.氣之所聚.名曰聚.

積者.五藏所生.
聚者.六府所成也.
積者.陰氣也.其始發有常處.其痛不離其部.上下有所終始.左右有所窮處.
聚者.陽氣也.其始發無根本.上下無所留止.其痛無常處.謂之聚.
故以是別知積聚也.

五十五難に曰く.
病に積あり、聚あり.何を以て之を別つや?
然り.
積は、陰気なり.
聚は、陽気なり.
故に陰は沈みて伏し、陽は浮かびて動く、気の積る所を名づけて積といい、気の聚る所を名づけて聚という.
故に.
積は、五臓の生ずる所なり.
聚は、六腑の成る所なり.
積は、陰気なれば、其の始めて発するに常の処あり、其の痛みは其の部を離れず、上下に終始する所あり、左右に窮まる処の所あり.
聚は、陽気なれば、其の始めて発するに根本無く、上下に留止する所無く、其の痛みは常の処なく、之を聚と謂う.
故に是れを以て積聚を別けて知るなり.