難経

 

五十七難


◆五十七難曰.
泄凡有幾.皆有名不.
然.
泄凡有五.其名不同.
有胃泄.有脾泄.有大腸泄.有小腸泄.有大瘕泄.名曰後重.
胃泄者.飮食不化.色黄.
脾泄者.腹脹滿.泄注.食即嘔吐逆.
大腸泄者.食已窘迫.大便色白.腸鳴切痛.
小腸泄者.溲而便膿血.少腹痛.
大瘕泄者.裏急後重.數至圊而不能便.莖中痛.
此五泄之法也.

五十七難に曰く.
泄は凡て(すべて)幾ばく有るや? 皆な名有るや不きや(なきや)?
然り.
泄は凡て五つ有り、其の名は同じからず.
胃泄あり、脾泄あり、大腸泄あり、小腸泄あり、大瘕泄あり、名づけて後重と曰うなり.
胃泄は、飲食が化せず、色は黄なり.
脾泄は、腹が脹満し、泄注し、食べれば即ち嘔吐し逆す.
大腸泄は、食すれば已て(やがて)窘迫し、大便の色は白く、腸は鳴りて切痛す.
小腸泄は、溲して膿血を便し、小腹が痛む.
大瘕泄は、裏急、後重し、数々(しばしば)圊(セイ かわや)に至るも便すること能わず、茎中が痛む.
此れが五泄の法なり.