難経

 

六十六難


◆六十六難曰.
經言.
肺之原.出于太淵.
心之原.出于太陵.
肝之原.出于太衝.
脾之原.出于太白.
腎之原.出于太谿.
少陰之原.出于兌骨.
膽之原.出于丘墟.
胃之原.出于衝陽.
三焦之原.出于陽池.
膀胱之原.出于京骨.
大腸之原.出于合谷.
小腸之原.出于腕骨.
十二經皆以兪爲原者.何也.
然.
五藏兪者.三焦之所行.氣之所留止也.

三焦所行之兪爲原者.何也.
然.
臍下腎間動氣者.人之生命也.十二經之根本也.故名曰原.
三焦者.原氣之別使也.主通行三氣.經歴於五藏六府.
原者.三焦之尊號也.故所止輒爲原.
五藏六府之有病者.皆取其原也.

六十六難に曰く.
経に言う.
「肺の原は、太淵に出て、
心の原は、大陵に出て、
肝の原は、太衝に出て、
脾の原は、太白に出て、
腎の原は、大谿に出て、
少陰の原は、兌骨に出て、
胆の原は、丘墟に出て、
胃の原は、衝陽に出て、
三焦の原は、陽池に出て、
膀胱の原は、京骨に出て、
大腸の原は、合谷に出て、
小腸の原は、腕骨に出ず」と.
十二経は皆兪を以て原と為すとは、何ぞや?
然り.
五臓の兪は三焦の行(すす)む所、気の留止する所なり.

三焦の行む所の兪を原と為すとは、何ぞや?
然り.
臍下腎間の動気は、人の生命なり.十二経の根本なり.故に名づけて三焦は、原気の別の使いなり.三気を通行することを主り、五臓六腑を経歴す.
原は、三焦の尊号なり.故に止る所を輒ち原と為すなり.
五臓六腑に病ある者は、皆な其の原を取るなり.