難経

 

七十四難


◆七十四難曰.
經言.
春刺井.夏刺滎.季夏刺兪.秋刺經.冬刺合者.何謂也.
然.
春刺井者.邪在肝.
夏刺滎者.邪在心.
季夏刺兪者.邪在脾.
秋刺經者.邪在肺.
冬刺合者.邪在腎.

其肝心脾肺腎.而繋於春夏秋冬者.何也.
然.
五藏一病.輒有五也.
假令肝病.色青者肝也.臊臭者肝也.喜酸者肝也.喜呼者肝也.喜泣者肝也.
其病衆多.不可盡言也.
四時有數.而竝繋於春夏秋冬者也.
鍼之要妙.在於秋毫者也.

七十四難に曰く.
経に言う.
「春は井を刺し、夏は栄を刺し、季夏は兪を刺し、秋は経を刺し、冬は合を刺す」とは何ぞや?
然り.
春は井を刺すとは、邪が肝に在り、
夏に栄を刺すとは、邪が心に在り、
季夏に兪を刺すとは、邪が脾に在り、
秋に経を刺すとは、邪が肺に在り、
冬に合を刺すとは、邪が腎にあればなり.

其の肝心脾肺腎の春夏秋冬に繋わる(かかわる)者は何ぞや?
然り.
五臓が一たび病むときは、輒ち(すなわち)五つあるなり.
仮令(たとえば)、肝が病みて、色が青きは肝なり、臊臭なる者は肝なり、酸を喜む(このむ)者は肝なり、呼を喜む者は肝なり、泣を喜む者は肝なり.
其の病は衆多(あまた)にして言いて尽くすべからざるなり.
四時は数ありて、並びて春夏秋冬に繋わる者なり.
鍼の要妙は、秋毫に在る者なり.