難経

 

七十七難


◆七十七難曰.
經言.
上工治未病.中工治已病者.何謂也.
然.
所謂治未病者.見肝之病.則知肝當傳之與脾.故先實其脾氣.無令得受肝之邪.
故曰治未病焉.
中工治已病者.見肝之病.不暁相傳.但一心治肝.
故曰治已病也.

七十七難に曰く.
経に言う.
「上工は未病を治し、中工は已病(いびょう)を治す」とは何の謂いぞや?
然り.
所謂(いわゆる)未病(みびょう)を治す者は、肝の病が見(あら)わるるに、則ち肝は当に之を脾に伝うることを知る.故に先ず其の脾の気を実して、得て肝の邪を受けしむることなからしむるなり.
故に未病を治すと曰う.
中工は已(すで)の病を治すとは、肝の病が見わるるに、相い伝うることを暁かにせず、但だ一心に肝を治す.
故に已病を治すというなり.