難経

 

八十一難


◆八十一難曰.
經言.
無實實虚虚.損不足而益有餘.
是寸口脉耶.
將病自有虚實耶.
其損益奈何.
然.
是病非謂寸口脉也.
謂病自有虚實也.
假令肝實而肺虚.肝者木也.肺者金也.金木當更相平.當知金平木.
假令肺實而肝虚微少氣.用鍼不補其肝.而反重實其肺.故曰實實虚虚.損不足而益有餘.
此者中工之所害也.

八十一難に曰く.
経に言う.
「実を実し虚を虚し、不足を損じ有余を益すこと無かれ」とは、
是れ寸口の脈のことなるか?
将(はた)また病に自から虚実あることなるか?
其の損益は如何に?
然り.
是れ病のことなりて寸口の脈のこと謂うに非ざるなり.
病に自から虚実あるを謂うなり.
仮令(たとえば)肝が実し肺が虚す、肝は木なり、肺は金なり.金木は当に更るがわる相い平らぐなり、当に金は木を平らぐことを知るべし.
仮令(たとえば)肺が実して肝が虚す、微少の気、鍼を用いて其の肝を補わずして、反って重ねて其の肺を実す.故に実を実し、虚を虚し、不足を損し有余を益すと曰うなり.
此れ中工の害する所なり.